このアルバムを聴きながら、トンチの影と一緒に夏の散歩をした。

もしかしたら【私たちの目線】はきらめく海とか、青い空とか、太陽に照らされている緑に向かっていたのかもしれないが、 トンチの影と歩いていたので、高い塀にはさまれた狭い路地とか、蝉の鳴く墓場とか、寂れた商店街の店先とか、空っぽの砂浜だけ見て歩いた。 それらは全部美しかった。 夏があまり好きじゃなかったのは、子供の時楽しみにしていた夏を手放したくなかっただけなのかもしれない、と思った。

澄んだ水のようなトンチの歌をガイドに今年は大人の夏を堪能しようと思う。きっと楽しいだろう。

石橋英子